横浜美術館にヌード展を見に行ってきました。
「ヌード」という単一のコンセプトから想像する以上に、作品の幅が広く、とても楽しめました。
古くから美術作品のテーマとしてとりあげられている裸体。
美か、芸術か、猥褻か。
時代とともに変化する思想に触れることもでき、いろいろと考えさせられる展覧会でもありました。
まだ駆け込みで間に合うので、ご都合がつけばぜひ足を運んでみてくださいね。
ヌード展
会期:2018年6月24日(日)まで
会場:横浜美術館
公式サイト:https://artexhibition.jp/nude2018/
ヌードはヌードでもそれぞれ違う
- 物語とヌード
- 親密な眼差し
- モダン・ヌード
- エロティック・ヌード
- レアリスムとシュルレアリスム
- 肉体を捉える筆触
- 身体の政治性
- 儚き身体
8つのテーマにそってヌード作品が展示されています。
一口にヌードといっても、裸体に対する考え方、表現の仕方は様々。
テーマが切り替わるたびに、違う視点でのヌードに出会える。
この見せ方が今回の展覧会の面白かったところですね。
ヌード展の感想
ハーバード・ジェイムズ・ドレイパー 「イカロス哀悼 」
物語の中のヌードは神話の世界。
神々しさや美しさを感じるヌードが多かったです。
その中で「イカロス哀悼 」は、人の命のはかなさを表現していて、空気が違うかんじで印象に残っています。
ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー 「寝室:空のベッド 」
風景画の印象が強いターナーがエロティック・ヌードにいたのは意外。
でもターナーは男女の夜の愛を描いたスケッチなども描いていたんですね。
遺族がイメージを損なうということで多くを捨ててしまったというエピソードも、当時のエロスに対する風潮を示しているようで考え深いものがありました。
唯一、撮影可だったロダンの接吻。
1つの大理石から作られているんだけど、男性は筋肉質の引き締まった質感、女性は柔らかでしなやかな質感。
同じ素材なのに触れたら固さが違うのではないかと思えるような表現力は凄かった。
愛をはぐくんでいる男女なんだけど、そんなことよりも筋肉とか肌の質感とかを見てしまう作品ですね。
ジョン・エヴァレット・ミレイ 「ナイト・エラント(遍歴の騎士) 」
これをみたらぜひコレクション展も見てほしい。
ミレイが油彩で描いた「ナイト・エラント(遍歴の騎士) 」を下村観山が水彩で模写した作品が展示されています。
木、女性の肌、甲冑。
血の通うあたたかな肌と、冷たく固い甲冑の対比など、この作品もロダンの接吻とおなじく、ヌードであることよりも技法に目がいきました。
そして近代に入ると、ヌードは単に裸体ではなく、そこに複雑な思いが組み込まれます。
母体としての裸体、肌の色による差別に挑む裸体、性的欲求のはけ口として見られることへの憤りなど。
人の裸体は美しく、そして、なまめかしい。
時には美の象徴として、時には猥雑なものとして。
同じ裸体を描いても絶賛されもすれば、さげすまれもする。
ヌードはなんなのか?
見る前と、見た後で、ヌードに対する印象がかわった美術展でした。
見ておいてよかった。
ヌード展
会期:2018年6月24日(日)まで
会場:横浜美術館
公式サイト:https://artexhibition.jp/nude2018/
公式Twitterで最終週の平日限定割引サービスがありますよ。
200円引きになるので、これから行く方はぜひ活用してくださいね。
こちら→https://twitter.com/nude2018
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