東京国立博物館で開催中の「名作誕生-つながる日本美術」を見てきました。
美術検定3級の学習をしているけど、日本美術はなかなか覚えられない。
「つながり」をキーワードに作品を見られるこの展示会はいい勉強になるのでは?と思って足を運びました。
実際の作品をみて、その作品の詳細を知ると印象に残るし、頭にも入りますね。
重要文化財レベルの作品がたくさんあるし、コンセプトもはっきりしているし、すごく楽しめました。
創刊記念『國華』130周年・朝日新聞140周年 特別展「名作誕生-つながる日本美術」
場所:東京国立博物館 平成館 特別展示室
期間:2018年4月13日(金) ~ 2018年5月27日(日)
東京国立博物館の特別展ページ:http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1889
展示会公式サイト:http://meisaku2018.jp/
第1章 祈りをつなぐ
仏像や仏画などの信仰を背景とする美術が展示されています。
この分野、どれも同じに見えて野苦手・・・・。
薬師如来立像が6体展示されているんだけど、比べて見ると、装束の彫り方とか表情とかみんな違う。
使われている木によっても雰囲気が違うんですよねー。
これだけまとめて見比べる機会はそうそうないので見ておいて損はないです。
平安時代霊木信仰もあり一本の木から彫り出す一木造の仏像が多かったようですね。
国宝 普賢菩薩像[ふげんぼさつぞう]
平安時代・12世紀 東京国立博物館蔵
白象に乗った普賢菩薩像。
女性は不浄だから往生できないとする仏教に対し、男性に生まれ変われば往生できるという救済を示したのが法華経。
これにより法華経は女性からの絶大な支持を得ることになります。
そして、女性からの支持が仏画にも取り入れられ、和装束の十羅刹女が普賢菩薩とともに描かれるようになったそうです。
「つながり」って面白いですね。
第2章 巨匠のつながり
雪舟、宗達、若冲という3人の「巨匠」に焦点を当て、海外や古典とのつながりを展示されてます。
巨匠たちもその作品に到達するまでの間に、過去に学び、他者に学び、試行錯誤を繰り広げていたことがわかります。
単に模倣するだけでなく、そこに自分らしさ、新たな視点を加えることで、新たな作品が生まれていく。
その過程を見ることができます。
同じ構図、同じ題材でも表現の仕方ですごく差がでるのを実際に見比べることができるのは貴重な体験ですね。
中でも面白かったのが伊藤若冲。
自分自身の作品をアレンジしていくかんじなんですよね。
着色画の仙人掌群鶏図襖[さぼてんぐんけいずふすま]と水墨画の群鶏図の比較は、同じような構図でありながら印象が全く違って見ごたえがありました。
あと俵屋宗達といえば「風神雷神図屛風」って覚えてたけど、まぁ作品の幅広いこと。
源氏物語なども描いているんですよ。
そしてこうした古典の物語や風景など様々な題材を扇絵にして、それをコラージュさながら組み合わせて1つの屏風絵に仕立てるなどアイデアも豊富。
一気に興味がわいてもっと詳しく作品を知りたくなっちゃいましたよ。
扇コラージュの屏風絵は展示されているのでぜひ見てくださいね。
第3章 古典文学につながる
源氏物語や伊勢物語といった古典文学と美術とのつながりが展示されています。
現在でいうと、小説が漫画になったり、アニメになったりするイメージですかね。
伊勢物語のワンシーンを描いた俵屋宗達の作品。
東国へ下る蔦の茂る山道の中で、知り合いに出会い文を託す場面を描いたものです。
伊勢物語を知っている人には、この作品を見ただけでそのシーンがわかるのでしょうね。
人などがいない分、より鮮明に物語が脳裏に思い浮かぶのかもしれません。
絵画だけでなく香炉や櫛箱などの工芸品にも作品のモチーフが織り込まれているものが多く展示されていました。
文学とのつながりで覚えるとどの時代の作品かも覚えやすそうで、美術史の勉強にもよさそうですね。
第4章 つながるモチーフ/イメージ
見返り美人が展示されているのはここ。
第4章は三保の松原などの山水、蓮水禽図の花鳥、風俗画などの人物というモチーフのつながりの面白さを見せてくれます。
女性たちの視線の先にあるものは何なのか。
全く登場しない男性の存在を感じさせるような、男女の物語をイメージさせるような雰囲気につながりがありますよね。
江戸時代にはこうした生活を感じさせる風俗画が多く描かれていたようです。
見返り美人のような「美人画」が生まれるまでのつながりを見られるのもこのコーナー。
伊勢物語のワンシーンから始まり、女性が単独で描かれるようになるまでのストーリーを見ることができます。
こういう「つながり」で覚えると、時代の流れがつかみやすいかも。
まとめ
なんか、何見ても同じように見えるし、作品の名前は長いし漢字ばかりで覚えにくいし。
美術検定の勉強を始めたものの、日本の美術史ってあんまり興味もてなかったんですよ。
でも、今回「名作誕生-つながる日本美術」をみて、日本美術も面白いなーって思いました。
同じような構図、同じような題材。
でも、その中でもいろんなバリエーションがあるのがわかりました。
それは人とのつながりであったり、モチーフでのつながりであったり、進化の過程で生まれたものなんですね。
仏像もどれも同じに見えていたけど、普賢菩薩は見分けがつくようになりました。
信仰に託された思いやつながりが見えてくると、仏像や仏画の見方も変わる気がします。
なんにしても苦手意識が和らいだので、行って正解でした。
重要文化財クラスの美術品が間近でじっくり鑑賞できるので、おすすめですよー。
創刊記念『國華』130周年・朝日新聞140周年 特別展「名作誕生-つながる日本美術」
場所:東京国立博物館 平成館 特別展示室
期間:2018年4月13日(金) ~ 2018年5月27日(日)
東京国立博物館の特別展ページ:http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1889
展示会公式サイト:http://meisaku2018.jp/
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